節約、運動、効率…僕が自転車に乗るようになった理由。

自転車自体には正直なところ興味はなかった。

あのときお金が欲しかった僕は、親から貰える電車の定期代金をお小遣いにしようと考えた。

家には幸い埃被った折り畳み自転車があった。

 

タイヤに空気を入れて乗ってみる。

走行に支障はない。

これならいける。

そう思った。

 

僕が住んでいた家から高校までは片道12~13キロはある。

往復にすると結構な距離である。

毎日の通学について苦痛かと思えばそうではなかった。

若気の至りなのかもしれないし、あのころは体力が有り余っていたからなのかも知れない。

 

ただ、個人的にはそのどちらでもないと思っている。

 

確かに距離はあったが、道なりはなだらかで勾配がほとんどない道を走った。

勾配のない道はそこまで身体の負担がないものですいすい走ることができる。

 

また、通学には河川敷にあるサイクリングロードを使っていた。

サイクリングロードというのは整備された自転車専用道路のことである。

 

河川敷サイクリングロード

 

サイクリングロードのいいところは安全面にある。

普通、歩道には歩行者がいるので接触などの事故の可能性がある。

サイクリングロードは歩道ほど人の往来が多くなく、接触事故が少ない。

 

また、車やバイクなどは通行できないのでそれらの接触事故が無くなる点は大きい。

そういうわけで通学のために毎日自転車を2時間近く漕いでいた。

 

初めは移動の足にしか考えていなかった自転車も、毎日使っていると愛着が湧くものである。

愛用していた折り畳み自転車はチェーンが錆びていて漕ぐたびにぎこぎこと音がなっていたので、赤茶けたチェーンを交換した。

パンクしたときは自力でパンク修理をやってみた。

 

これだけで自転車が好きになれるような気がした。

 

自転車は乗ってみるとなかなか面白い乗り物である。

当然だが身体を動かしているので運動になる。

僕が見たサイトの情報が正しければ、自転車はジョギングよりも身体にかかる負荷が6分の1か7分の1かで済むらしい。

適度な運動をするためには最適な乗り物だと思う。

 

また、自転車は小回りが利く。

例えば車やバイクだと実際の道路交通規則に沿って走行しないといけないが、自転車の場合は目的地を過ぎてしまっても安全なところで停止して引き返すことができる。

特に都会に住んでいたら街中がややこしく、人も多いので、車を使うよりも自転車で街の中を移動する方が効率がよかったりもする。

 

都会は電車やバスなどの交通機関は充実しているが、あくまでお金があればの話。

高校生の僕は100円台の料金ですらケチるほど財布の中身がスカスカだったので電車やバスに乗ることはほとんどなく、自転車ばかり乗っていた。

 

財布に1円

 

自転車で街の中を走ってから気づいたことだが、短い距離であれば交通機関を使うよりも自転車のほうが早く着くときがある。

例えば電車の場合は駅から駅までは数分で着くとしても、改札を通る時間や電車を待つ時間を考慮すると自転車のほうが早く着くときがある。

バスも同様で、バスが来るまでの時間や渋滞などの交通状況によっては自転車のほうが早いときがある。

しかもお金も浮くし運動もできるから一石二鳥だ。

 

そういうわけで僕は高校時代、自転車に乗り続け旅を始め、大学に入ってからも自転車を乗り続けることになったのだ。

自転車で九州一周を目指すも…フェリーで大阪へ帰った理由とは?

ボロボロの折り畳み自転車をずっと乗っていたら、ある時親が懸賞で自転車を当てた。

LOUIS GARNEALの24段変速のマウンテンバイクである。

 

折り畳み自転車からルイガノに乗り換えた僕は長期休みを利用して自転車の旅に出た。

紀伊半島、しまなみ海道、山陽横断……いままで放浪した場所のほとんどが西日本だ。

それは、僕が住んでいるのが西日本の首都ともいえる大阪だからである。

 

あれは、2010年の夏だった。

大学一年生だった僕は大学生としての初めての夏休みをどのようにして過ごそうか悩んでいた。

この時点で近畿地方と四国地方は走っていたので、今度は九州でも一周するか、と思い九州を旅することを決意した。

 

九州までは大阪の南港や神戸からのフェリーで上陸することができる。

しかしあの時の僕は、フェリーよりも自力で九州まで行ったほうがカッコいい気がしたので陸路で九州まで行った。

 

ところが……

 

大阪から九州までは国道2号線一本で繋がっているので、そこを中心に走っていた。

道はなだらかでお店も多い。

交通量こそ多いものの多くの場所は歩道、路側帯が広く整備されているので走りやすく、走行に支障があるところはほとんどなかった。

 

ただ、あの時僕を苦しめたのは夏の暑さであった。

 

夏の道

 

夏の西日本というのははっきり言って死ぬほど暑い。

湿気があるので日中だけでなく夜中も暑くて寝苦しい夜が続く。

 

走っていると汗がぽたぽた落ちてくる。

喉が渇く。

お店で買ったスポーツドリンクは一時間でぬるくなって不味い。

 

そして最悪なのが身体が臭うことだ。

 

普通、自転車旅行する際には自転車にキャリアを付けて、そこにサイドバッグという自転車旅行専用のバッグを取り付けるのだが、独学で自転車旅行を始めようとした僕にそんな知識はなかった。

あのとき自転車で旅をしたときの装備は相当杜撰で、35L入る登山用ザックに思いつく限りの荷物を山ほどつめ込んだだけであった。

要するに背中が死ぬほど暑くて死ぬほど汗がでて死ぬほど臭かった。

 

風呂に入りたいなあ。

洗濯物洗いたいなあ。

 

と思うときは多々あった。

しかしそういう時は大抵風呂屋もコインランドリーも見当たらない。

 

そんな中で日が暮れたときは仕方なしに公園のベンチなり砂浜なりで寝る。

しかしテントを持っていなかった。

テントを持っていないと辛いのが蚊である。

 

蚊

 

夏の公園にも砂浜にも河川敷にも潜んでいる蚊は群れで襲いかかってくるので、一匹倒したところでキリがない。

 

刺されるのはまだいい。

耳元で囁かれる羽音。

疲れきってるのにそれのせいで寝付けないので、充分に体力の回復もできずにストレスが溜まった。

 

初めのころは我慢していたが一週間ぐらい経ち、痺れを切らした。

そのときは福岡にいたのだが、キャナルシティというショッピングモールの中に入っていたモンベルでテントを買ってしまった。

余計な荷物が増えて35Lの登山用ザックは更に重たくなったが、蚊帳替わりとして機能するテントは蚊の進撃から守ってくれて快適に眠ることができた。

 

蚊の問題は解決した。

しかし九州の暑さは依然どうしようもなく、身体が疲れ切っていた僕はそのまま福岡の新門司港まで行き名門大洋フェリーで大阪に帰ってしまった。

 

そのとき思った。

来年の夏は北へ行こう、と。

夏に自転車で旅をするなら、断然北海道がおすすめな理由。

2011年。

前年の反省から今年は北海道に行くことを決めていた。

 

北海道へ行くルートはいくつかある。

 

新日本海フェリー

 

京都の舞鶴市や福井県の敦賀市から出ている新日本海フェリーで北海道に上陸するルート。

飛行機に自転車を乗っけて上陸する方法。

自力で青森まで漕いで函館に上陸するルート。

 

個人的には自力で青森まで行きたかったが、如何せんこの年の夏も死ぬほど暑く、一刻も早く北海道に上陸したかったので、舞鶴市から小樽を結ぶ新日本海フェリーを使うことにした。

8月上旬の話である。

 

北海道には夜に上陸した。

 

まず思ったのは寒いことだった。

さすがは北の大地。

そう思った。

 

幸い寝袋にくるまったらどうにでもなる寒さだったので近くの公園で寝てしまった。

心地よい気温と静けさだった。

 

北海道の道を走ってみた。

路側帯が広くて走りやすい。

冬の時期になると除雪した雪を積むためのスペースらしく、道内の大抵の道は路側帯を広くしてある。

それが夏になると疑似自転車道になるのだ。

 

小樽の除雪車

 

交通量も札幌などは多かったが、都会から一歩離れると閑散としていて走りやすい。

夏の北海道は日中は暑く感じたりもしたが、本州特有の湿気がなかったのでそこまで苦痛ではない。

何より夜になると気温は一気に冷えて快適に眠れるのがすごい心地よかった。

 

本州の各地をある程度走り回ったあとに北海道を走ってみて思ったのは、自転車旅行者が多いことだ。

 

北海道で出逢った人から聞いて知ったのだが、自転車旅行者のことをチャリダーと呼ぶらしい。

ライダーならぬチャリダー。

なかなかいい響きだ。

 

そんなチャリダーが北海道にはたくさんいた。

 

2人のチャリダー

 

僕みたいに一人で走り回るチャリダー。

大学の部活動の行事で北海道を数日間走る大学生たち。

定年退職してチャリダーを始めた人。

何らかの事情で自転車に乗った人など……。

 

自転車に限らずバイクもものすごく多い。

集団でブンブン言いながら北海道の広大な大地を颯爽と駆け抜けるライダーを何百台も見てきたが、さぞ気持ちよさそうだ。

 

ハーレーで駆け抜ける男性

 

また、キャンピングカーの旅行者も多く、無料もしくは低料金のキャンプ場を拠点にして旅をしたり、道の駅をハシゴして旅している人も多かった。

 

夏の北海道は旅のメッカだ。

 

旅をしているといろんな人と話す機会があるが、旅人同士でコミュニケーションを取ることができるのが北海道のいいところなのかもしれない。

ライダーさんもチャリダーもお話し好きな人が多いので、北海道を旅をしていて結構喋った。

 

普通、チャリダーは孤独が付きまとうものだ。

西日本を旅行していたときは孤独を感じながらも前へ、前へ進んだものだが、北海道ではその孤独さはあまり感じなかった。

前出したように低料金で入れるキャンプ場や、ライダーたちが交流するための場であるライダーハウスの存在が大きいかもしれない。

 

それらに魅了された僕はこの年に限らず翌年、翌々年と自転車で北海道を駆け巡ることになったのである。

自転車の旅は夏の北海道がおすすめだ。

 

さて、ここで一つ問題が発生する。

自転車を北海道まで輸送するにはどうすればいいか、だ。

もちろん、チャリダーとしてはできるだけ安く済ませい。

方法としてすぐに浮かぶのは、西濃運輸のカンガルー自転車輸送便や、宅急便でおなじみのサイクリングヤマト便。

他にも輪行や大会出場にあった自転車専用の宅急便がいろいろある。

 

だが、見つけたこちらの自転車ブログに書いてあることにはちょっと注意したい。

http://www.xn--qev434ds0izc31e.com/

 

この、「自転車の送料が安いのは…。ヤマトの宅急便、それとも引越し業者?」というブログでは、自転車をヤマトのらくらく家財宅急便で輸送すればいいと記載している。

確かにママチャリを引っ越しで運ぶのには最適だが、ロードバイクなどの自転車は料金が高くなる可能性がある。

その他にも気になる記事があったので、一読をおすすめする。

自転車で小樽から稚内へ~僕は初めて北海道の大自然を満喫した。

この年、1ヵ月近くかけて北海道を一周した。

1ヵ月の出来事を全て綴るととんでもない分量になるので、特に思い出に残っている小樽から稚内の間の道のりでの出来事をまとめてみたい。

 

 

新日本海フェリーで小樽に上陸した僕はいきなり悩んだ。

どこに行こうか、と。

 

それまではただただ北海道に上陸することしか考えてなく、フェリーが小樽に着いた瞬間に目標が達成されてしまったのだ。

 

小樽のフェリー

 

さて、どうしよう。

とりあえず北海道を一周でもしてみるか。

ではどこを目指そう。

とりあえず最北端にでも行ってみるか。

 

なんとなくそう思い、稚内を目指した。

 

北海道に上陸してから稚内まではずっと走り続けていたと思う。

あの時は大学の夏休みを利用して旅していたのだが、僕の中で北海道の存在はとにかく大きくて、とにかくペダルを漕いで少しでも前へ前へ行かなくては学業が始まってしまうと焦っていた。

とにかく自転車を漕いでいた。

 

ロードレーサーで走る男性

 

北海道は夏でも本州ほど暑くない。

そして道も広い。

街を抜けたら信号の数も一気に減るので走りやすい。

 

ただ、全ての道がそういうわけではない。

例えば勾配なんてものは多い上に、街を離れるとお店、特にコンビニの数が急激に減るので、軽食や水分は街で購入しないといけないときもある。

 

僕が小樽から稚内を目指すとき、国道231号線を使った。

この道は札幌から留萌を繋ぐ道で海沿いを走る道である。

他にも国道275号線という内陸から北を目指す道があったのだが、何となく内陸=山道を突き進むイメージがあり、勾配を回避するために海沿いの231号線を選択したのだ。

 

ところがこの道が、後々に走った北海道の道の中でも群を抜くほど過酷な道のりであった。

まずアップダウンが立ち向かうかのようにある。

そして路側帯が狭い。

 

小樽から札幌の間の国道5号線もそれなりにアップダウンはあり、交通量も多い。

しかしここは路側帯が広く設置されているので実は走りやすいのだ。

 

ところが231号線はものすごく狭い。

そして交通量こそ少ないものの、トラックはやけに走る。

 

そして一番怖かったのがトンネルである。

 

トンネル

 

自転車で走っていて特に怖いのはトンネルだ。

特に北海道のトンネルは歩行者が通行することを考えずに造られたのか、歩道がほとんどないのだ。

 

もちろんドライバーも歩行者が通るとは思ってもいないので、ハイスピードでトンネルを走る。

その状況下でチャリダーは轢かれないように、と神様に祈りながら全力でペダルを漕がなくてはいけないのだ。

 

そのようなトンネルがこの国道231号線には10数個設置されている。

トンネルは大量、歩道は極小。

トラックはぶっ飛ばすわでチャリダー泣かせのトンネル。

しかも切り抜いて作ったはずなのにどういうわけか勾配のあるトンネルもあり、びくびくしながら走りきるのは骨が折れた。

 

留萌の手前の増毛町という場所に着いたときは、精神的に参っていて町内の公園ですぐに野宿をした。

次の日は増毛町から更に北に北上した。

 

留萌市から稚内市までは国道232号線で結ばれている。

この道は前日の231号線とは違ってトンネルはなくて、アップダウンもそこまで多くないシーサイドラインだ。

天候が晴れということもあり、気持ちよく走ることができた。

 

この辺りで対向から走ってくるチャリダーがやけに目立つことに気づいた。

僕はたまたま時計回りに北海道を走っていたが、中には反時計回りで走る人がいるのだ。

 

手を振る。

手を振ってくれる。

言葉を交わさずとも仲良くなれた気がした。

 

 

走っているとバイクが僕の横を颯爽と走り抜く。

そのとき通りすがりのライダーたちが僕の横を駆け抜ける際、左手で手を振ってくれたり拳を掲げたりしながら走る場面が多々あった。

 

ライダー

 

北海道では旅人は皆仲間であるという風潮があり、チャリダーへエールを送ろうということでこのような文化が広まっているのだ。

いままで本州ばかり走っていたときはそのようなことはなく、その意味を別のチャリダーに聞いたときは感動を覚えた。

 

この日はひたすら国道232号線を走って初山別村という場所まで来た。

このころ陽がやや傾いていて走ろうかどうしようか考えながらペダルを漕いでいたら、左手に海岸が見える。

ちょっと寄り道してみようと思い、自転車を持って入ってみた。

 

波が穏やかで人の気配は全くなく、さざ波の音しかない。

水道水を汲んだペットボトルをいくつか持っていたので、簡単なゴハンならここでも作れるし飲み水も問題ない。

一日だけならここで寝られる。

そう思ったときにはテントを立てる準備に入っていた。

 

テントを拵えると砂浜に転がっている木の枝と、燃焼しそうな葉っぱを集め、テントの前で組む。

陽が沈むと同時に、組んだそれにライターを近づける。

小さな火が灯りとなってテントと僕を照らす。

 

暗闇の中で燃え続ける焚き火というのは見ているだけでなぜか心が和む。

今いる海岸全てを僕だけが占有している気分であった。

 

焚火の火

 

その海岸を少し歩いてみようと立った。

焚き火から離れると足元は真っ暗だが上を見上げると満天の星空が現れた。

敷き詰められたように星が見える。

星ってこんなに在ったのか。

 

自然の光とは美しいものでずっと見入ってしまう。

海岸で仰向けになりしばらく空を眺めた。

 

相変わらず人間は僕一人だ。

さざなみの音と焚き火のパチッパチッという音、そして僕が砂浜を歩いている音、それ以外は何も聞こえなかった。

 

最高だった。

幸せだった。

これが北海道なのか。

 

北の大地、最果ての土地、北海道を走り出して3日目の夜。

僕は初めて北海道の大自然を満喫した。

自転車で最北端の街・稚内へ!~向かい風の道道106号線

次の日、あろうことか便意で起きてしまった。

不覚にもトイレットペーパーを持参していなかった僕は、野糞しようにもできなかった。

ケツの穴からくる激痛に耐えながらテントを畳み、散らかし放題にしていた食器や小道具を自転車のリアキャリアバッグにまとめて走り出した。

 

初山別村の道の駅で一本糞を出し、ようやく落ち着いた所でツーリングマップ2011年北海道版を開く。

ツーリングマップというのはライダー向けに作られた地図冊子。

おすすめのグルメや名所、名産はもちろんのこと、バイクで走って楽しい道なども掲載されている。

僕はバイク乗りではないが、チャリダーからしてもタメになる情報をゲットできるので愛用している。

 

ツーリングマップ2011年北海道版によるとこの先、天塩町というところで国道232は内陸に入るらしい。

替わりに海沿いに伸びる道道106号線は60キロ間信号、ガードレールのない道が続くらしい。

ライダーによると、

 

「THE 北海道!」と思わせるような道

 

だそうだ。

 

この道を使おう。

そう思った。

 

天塩の町を抜けて道道106号線に入る。

道がめちゃくちゃ広い。

どこまでも変わり映えしない道で広大である。

 

稚内天塩線

 

これが北海道の道なのか。

確かに面白く楽しかった。

最初の一時間くらいは……。

走って一時間くらいしたら、いつまで漕いでも景色は変化しないし道も単調で、見どころは途中に並んで建てられた29機の風力発電機と北緯45度モニュメントくらいしかないことに退屈し始めていた。

 

そしてなによりも辛かったのが常時吹く向かい風である。

前日までは風はこれっぽっちも吹いてなかったのに、よりによってこんなときに吹くとは思わなかった。

この道は遮るものがないので、一度風が来たらずっとそのままだ。

勾配は大したことないのだが、まるで上り坂を登っているときみたいに自転車の速度は落ちた。

そんな中走っていて空腹を感じたときは焦った。

このときまだ30キロくらいしか走っていなかったし、道道106号線にコンビニらしきものがあるとは思えなかった。

 

これはヤバい。

空腹になったらまともに走れないぞ。

今日中に稚内の街に辿り着かなければ、下手したら餓死……?

 

そう思ったときには全力でペダルを漕ぎ始めた。

稚内市の看板に差し掛かった時は少しホッとしてしまったが、ツーリングマップ2011年北海道版を見る限り市街地はまだまだ先で、左手に見える利尻富士をのんびり眺める暇もなく必死でペダルを漕いだ。

陽が暮れかかったころ、北海道民ご用達のコンビニ『セイコーマート』の灯りが見えたときは少し感動した。

人工の光も悪くない。

そう思ってしまった。

 

結局疲れ果てながらも稚内に辿り着いた。

日本最北端の街。

自力でここまで来てしまったときは少し信じられない気分であったが、小樽以上にひんやりとした気温を肌で感じている限りはとんでもないところにいることを認めざるを得なかった。

そしてその直後に目的地にたどり着いた実感が湧いてきた。

 

そう、自力で来てしまったのだ!

最北端の街に!

俺は自転車で!

 

その喜びはまるで一週間我慢したあとのマスターベーションに近い心地よさと解放感があった。

 

草原に寝転がる自転車乗り

 

この日はノシャップ岬という場所で野宿した。

次の日はすぐには宗谷岬に向かわずにハートランドフェリーで利尻島と礼文島を観光し、その後に向かった。

 

宗谷岬。

日本最北端の地というのはどういうものなのだろうかと楽しみだった。

しかし辿り着いた宗谷岬は、巨大な三角のモニュメントと間宮林蔵の銅像と土産屋が数軒あるだけのちっとも最北端らしくない場所で、悲しくなった僕は、そのままオホーツク沿岸沿いを走り出すのであった。

去年出会ったチャリダーにきいた北竜町のひまわり畑へ行ってみた

去年は北海道の海沿いを走ってしまった。

しかし外周に特化した僕は内陸にはほとんど足を運ばなかった。

 

北海道は内陸も魅力的な場所が山ほどある。

旭川ラーメン、景観の美瑛にラベンダーの富良野、そしてスイーツの国十勝……。

 

今年は内陸を攻めよう!

そう思った。

 

しかし海沿いとは違い、内陸は選択できるルートがたくさんある。

 

昨年同様小樽に上陸した僕は、札幌に住んでいる知り合いに会うため札幌へ向かった。

 

札幌駅

 

札幌で知り合いの人と会い、前述の悩みを打ち明けたら、

 

「国道12号線で旭川に向かって、そこから伸びてる国道で美瑛と富良野を走って、38号線で帯広方面に向かったいいんじゃない?」

 

と言われた。

 

なんの不満もなかった僕はそのプランに乗っかり、そのまま旭川方面へ向かうこととなる。

 

国道12号線は札幌と旭川という北海道の都市を結ぶ道だ。

交通量は北海道にしては多い方だと思う。

道にはお店やコンビニがずらりと並んでいてお金があれば喰うものには困らないが、この道で特に見るところはない。

 

あえていうなら日本一の直線道路というのはあるのだが、昨年走った道道106号線に比べたらどうも左右に点在するお店のせいで北海道らしくなく見劣りする道であった。

そして去年同様走っていてすぐに飽きた。

 

北海道の直線道路

 

国道12号線からは外れているが、去年出会ったチャリダーが北竜町という町のひまわり畑がすごくよかったとの言っていたのを思い出す。

少し寄り道がてら北竜町に足を運んだ。

 

北竜町の市街地では街路樹の替わりにひまわりが植えられていて、地元のおばあちゃんが手入れをしている。

北竜町の道の駅にはひまわりソフトなるものが販売されてあり、道の駅内の温泉にはひまわり温泉なるものまであった。

 

とにかくひまわりを強く推している街である。

それだけ強く推しているだけあって、北竜町のひまわり畑はこれはこれは壮大だった。

 

北竜町のひまわり畑

 

やや坂道のところに畑はあるのだが、黄色一色でどこまでもひまわり、ひまわり、ひまわり。

坂の先のほうまで黄色に染まっていてる。

これだけの数と面積をひまわりで埋め尽くしているのだから迫力があって見応えがあった。

 

観光地なので人は多かったが閉園時間になると人はいなくなる。

僕はなにを思ったのかここで野営したくなったので、人気が去ったのを見計らって勝手にテントを立てた。

そして翌朝誰かが来る前にテントを畳んで、跡形もなく北竜町を去った。

自転車で十勝へ。帯広にある六花亭本店で甘いものを喰おう。

北竜町を去った僕は自転車で旭川まで向かってそこから富良野方面へ南下、国道38号線をひたすら西へ走った。

狩勝峠を超えたらそこは十勝だ。

 

広大な十勝平野はお菓子が有名である。

それはこの土地で生まれる小麦や大豆、牛乳の質が高いからだ。

 

北海道で有名なお菓子やさんの六花亭や柳月もこの十勝平野から生まれた。

帯広には他にも豚丼やカレーライスも美味しいお店がある。

ばんえい競馬などもあるので見るところもたくさんある。

 

このころ糖分をまともに摂取していなかったのでとにかく甘いものが食べたかった。

そう思いながら辿り着いた北海道十勝地方。

甘いものを喰おう。

そう思った。

 

まずは帯広にある六花亭の本店へ向かった。

六花亭は街の中にあるので信号が面倒だ。

北海道を走りまくってると信号がないのが普通に感じるので、たまに街に入ったとき、信号ひとつとっても面倒に思ってしまう。

ただし平野というだけあって坂道はほとんどないので、道のりで険しかったところはほとんどない。

 

六花亭の包み

 

帯広の六花亭本店では、ここでしか食べることのできないサクサクパイなるものが売っている。

これは賞味期限3時間しか持たないお菓子なので通販では購入することができず、現地まで足を運んだ人しか味わうことのできない幻のお菓子だ。

 

ツーリングマップ2011年北海道版にも、

 

サクサクパイは旨い!

 

と書かれていたので迷わずそれを購入した。

 

サクサクパイは名前の通りサクサクしていた。

クリームも旨い。

このころ糖分が著しく減少していたからか、もしくは甘いものをただ単に口にしていなかったか分からないが、とにかく旨かった。

 

ツーリングマップル2011年北海道版編集者が太鼓判を押すのも分かる。

ライダーやチャリダーの中にはこれを求めて遠方からやってくる猛者もいるから恐ろしい。

現に六花亭本店には店の外装に反してバイクが綺麗に並べてあったり、サイドバックで装備した明らかにチャリダーのチャリンコが店外の歩道の柵にもたれ掛かったりしていた。

 

六花亭本店にはイートインコーナーがあり、そこでは無料のコーヒーが飲める。

サクサクパイと旨そうに陳列されていたおはぎをいくつか購入してスペースでコーヒーを口にしたのだが、そのコーヒーがまたいい具合にほろ苦くて美味しい。

 

紙コップに入ったコーヒー

 

これが北海道が誇るスイーツの街か。

味覚と嗅覚で体感できて満足だ。

 

旅のよいところの一つに、好きなタイミングでそこの名物や名産、名所へ寄ることができるということがある。

自転車で自力で目的地へ辿り着いたときの達成感。

そしてそこで喰う食い物、飲み物、酒がまた旨い。

 

結局この日は帯広で食べ歩きをしていたのだが、昼過ぎから自転車を漕ぎたくなって更に道東、釧路方面を目指した。

3年連続の北海道自転車旅~函館へ行くも一昨年ほどの感動がなく…

2013年。

北海道を自転車で外周、内周してしまった僕は、今年は北海道に行くことはないだろうと思っていた。

 

この年ぼくは大学4年生で就職は決まっていない。

就職が中々決まらない中、7月がやってきた。

 

暑い。

相変わらずこの暑さはどうにかならないものか。

 

いや、何とかなる。

北海道に行けばいいのだ。

自転車とともに――。

 

フェリーからの眺め

 

「3年連続で来てしまったんだな」

 

いつも利用している新日本海フェリーで小樽港に到着したときに思った。

 

この日の小樽も例年通り夏とは思えない涼しさだった。

本州の蒸し暑さから逃れるために北海道を目指した僕は、早くも目標が達成してしまったのである。

 

小樽に着いたフェリーは夜に到着なのでこの日は小樽で野宿するとして、明日からはどうしよう……と悩んだ。

過去二年で北海道のほとんどの地域を回ってしまった僕は、今度こそ心の底から行きたい!と思う場所がなかったのだ。

 

後日、とりあえず自転車に乗って走ろうと思った。

目的地はなんとなく函館にした。

 

函館には一昨年も寄った。

そのときはたまたま横浜から旅している男性カブラーと出逢った。

カブラーというのは原付自転車のカブで旅する人のことである。

燃費のいい車種だそうだ。

 

ぼくは原付には乗らないのでサッパリ分からない。

だがあの時は乗り物は違えどそのカブラーと仲良くなり、男二人で函館山の夜景を見たあとその辺の居酒屋でビールを飲みまくったのち、函館ベイサイドで野宿した思い出がある。

あの時の思い出は凄い楽しいものとして残っている。

 

ビールで乾杯

 

そのおかげかは分からないが、函館という街は僕の中でお気に入りの街になっていた。

 

きっと面白いことがあるだろう。

 

それを胸に函館を目指した。

 

小樽から3日かけて函館に辿り着いた。

とりあえずご当地グルメでも食べようか。

一昨年喰ったラッキーピエロというB級グルメバーガーはめちゃくちゃ美味しかったなあ。

それともハセガワストアの焼き鳥弁当にしようかな。

隠し味に仕込んであるワイン風味のタレが焼き鳥と相性抜群で旨いんだよなあ。

せっかくここまで来たんだし両方喰うのもいいな。

 

両方喰ってからは街をぶらぶらした。

五稜郭に行った。

函館ベイサイドにも行った。

土方歳三の像の前ではお辞儀した。

 

しかし、一昨年来た時ほどの感動がない……。

 

函館の土方歳三像

 

 

前回来たときはラッキーピエロもハセガワストアも函館ベイサイドにも感動したのだが、今回はそれほどでもない。

前回来たときはひとつひとつのことが新鮮で、それが感動という形として刺激になっていたのだろう。

2回目の函館は前回で感動を経験しているからか知らないが、あまり感動しなかった。

 

そういや人間も歳を取るごとに感動がなくなる。

小さいころはなんでも興味を持てた。

ちょうど一昨年自転車で北海道を巡り巡った僕のように。

しかし慣れとは怖いもので、このことを知ってしまった瞬間からあの時と同じ感動は二度と手に入らないのなんだな、とも思った。

 

なんでもいえることだ。

思い出という荷物を背負ってないときのほうが、得たときの感動は大きい。

 

そう思ったときに俺は本当に北海道に上陸してよかったものかと考えたりもした。

 

避暑地としては言うことのない北海道ではあるが、もう北海道で得られるものはないのかも知れない。

就職活動のこともある。

もしかしたら小樽に戻って本州に帰って就職活動の続きを行った方がいいかもな。

 

帰るか。

 

すぐに帰れる距離ではないが、とりあえず小樽を目指そう。

そう思い、北へ北上した。

 

函館から国道5号線を北上する。

一昨年も走ったし今朝も走った何も見どころのない道だ。

アップダウンだけはあるのでひいひい言いながらペダルを漕いでいた。

 

疲れたので道中で休憩していると車から女性の人に声をかけられた。

若くてなかなか美人な人だ。

車のナンバーが『函館』なので恐らくは地元の人だろう。

 

車を運転する女性

 

会話の内容は、

 

「どこから来られたのですか?」

「大阪です」

「すごいですね!頑張ってください!」

 

と至ってシンプルで中身のない内容だ。

その人はそのまま車でどこかに行かれた。

 

当たり障りのない会話だったが、この年は旅の開始からなかなか人と話すタイミングがなかったので久しぶりの交流。

それも若く美人な人と話ができただけでテンションは上がり、にやにやしそうになった。

何もない道だけどこういう出逢いがあるから旅って面白いよな、と一人でのん気に思っていた。

 

が、そのときとんでもないことに気づいてしまった。

 

そうか、北海道の名所、名産、名物は変化しなくても、旅で出逢う人は毎回変わる。

以前行ったところが変化してなくてもそこで出逢う人は新しく、面白く、印象に残る人かも知れない。

 

そう思うとこの3度目の旅にも意義がある。

走ろう。

いままで走った道をリフレインするのもいいな。

 

そう思った僕は、この年も1ヵ月以上北海道を放浪することになったのだ。

僕の自転車~愛車は白のLOUIS GARNEAL(マウンテンバイク)

僕の自転車は白のLOUIS GARNEAL(ルイガノ)の24段変速のマウンテンバイクだ。

価格にしたら約5万円。

 

タイヤのサイズは26インチでサスペンション付きで、タイヤチューブは英式バルブ。

英式バルブとは要するにママチャリと同じタイプである。

 

この自転車は親父が愛飲するアサヒビールのシールを応募してたまたま当選したものだ。

僕はそれまで使っていた折り畳み自転車を処分し、この自転車を愛車として乗り続けることとなる。

 

折り畳み自転車と比べたらタイヤが大きいので走行スピードが全然違う。

走っていて楽しい。

 

元々マウンテンバイクとはオフロードという、悪路や険しい道を走るために作られた自転車なので、頑丈さもウリだ。

走っているうちに魅了されて、この年の秋に旅というものを始めることになる。

 

僕が北海道を旅しているとよく見かけたのはクロスバイクの自転車だ。

クロスバイクとはマウンテンバイクの頑丈さとロードバイクのスピードを足して割ったような乗り物。

双方の利点を取り入れた自転車だ。

 

クロスバイク

 

そしてクロスバイクでの自転車の旅というのは、一ヵ月や二カ月程度の期間であれば充分いける。

日本の道路はほぼ全てが舗装されているので、オフロードに強いマウンテンバイクの性能はなくてもかまわない。

むしろサスペンションがついているのでフロントキャリア(前輪に付けるキャリア)を捜すのに苦労するだけだ。

 

ロードバイクのスピードもあの細いタイヤから産まれている。

自転車の前輪後輪にサイドバックを装備すると、20キロ近く自転車に負荷がかかる。

この状態だとロードバイクの細いタイヤは重過ぎて、なにか引っ掛けたときにすぐパンクしてしまう。

 

そのため北海道一周程度の旅行であれば、クロスバイクが一番安価で便利なのだ。

 

北海道を走っていてランドナーに乗っているチャリダーもいた。

ランドナーとは旅用自転車のことで性能、機能性、全てにおいて自転車旅行をする前提でつくられている。

フレームはカーボン製なので頑丈だ。

 

問題があるとするならば値段がものすごく張る点だ。

 

「下手に安価なものに手を出して故障してしまったら話にならないので、最低でも10万円以上するランドナーを購入する」とランドナー乗りは言っていた。

 

僕はランドナーには乗ったことがないので分からないのだが、聞いた話ではランドナーの部品は特殊なパーツが使われているので、道中何かあったときに街の自転車屋さんやホームセンターでは間に合わないというデメリットもあるそうだ。

 

稀にママチャリで走っているチャリダーもいる。

ホームセンターとか大型スーパーで1万円出せば購入できるようなやつだ。

 

ママチャリ

 

僕は3回の旅行で2人だけ見たことがある。

そのうちの一人と話す機会があったので聞いてみた。

 

「変則もなくてそもそも重たすぎるママチャリでどうして北海道一周しようと思ったのですか?」

 

「どこか調子悪くなったときにどんなボロい自転車屋でも直してもらえるからです」

 

ものすごくしっかりした動機で納得してしまったものだ。

Q&A「自転車で旅するとき、装備はどうしましたか?」

僕は過去に何回か自転車旅行をした。

 

3度目の北海道の自転車旅行のときはフロントバッグとリアバッグとシートバッグ。

そしてフロントキャリアにテントを括りつけて旅をしていた。

重量は25キロくらいはあると思う。

 

各装備の価格は、

 

  • mont-bellのリアサイドバッグ 21,525円
  • TOPEAKのリアキャリア 5,880円
  • mont-bellのシートバッグ 6,615円
  • mont-bellのフロントサイドバッグ 12,800円
  • MINOURAの布団とキャリア 10,510円
  • mont-bellのテント 19,800円

 

これだけでも8万弱の買い物をしている。

 

装備に関しては、サイドバッグなどはよほど荷物をつめ込まないかぎりは破れることはない。

僕は三度目の旅ではシートバッグに荷物をつめ込み過ぎたため、帰路時にビリビリと破れて道路に荷物をぶちまけてしまったことがある。

しかし重量さえ守ればそういうことはまずないであろう。

 

フロントキャリア、リアキャリアの最大積載量は各最大10キロだった。

僕は旅のときは自炊をしていたので、鍋などの食器や米などの食料を積み込み過ぎすぎて10キロは超えていたと思う。

が、キャリアは運よく耐えてくれた。

 

 

テントは2記事目にも書いたように、旅の途中で蚊に悩まされた挙句、博多の巨大ショッピングセンター『キャナルシティ』の中のmont-bellで購入したものだ。

ムーンライト1型という一人用テントである。

組み立てやすいのもあるが、重量が2.7キロしかなくコンパクトに収納できるので持ち運びに便利だ。

 

最終的に僕の旅のスタイルはこのようになった。

 

余談だが、僕は高校生のときに初めて自転車旅行をした。

9月の下旬ごろの話である。

その時は和歌山県串本町の本州最南端、潮岬を目指して旅をした。

 

このときは自転車のキャリアにつけるサイドバッグの存在など知らなかった。

家の押入れの奥底で埃を被っていた35L用の登山用ザックに荷物をぶち込んだ。

鍋、米、ガスコンロ、ガス缶、雨具……。

その当時の記録は残っていないので何を入れたかあまり覚えていないのだが、なぜかリンゴを4つ入れていたのと、パンツや靴下などの着替えを何一つ入れていなかったのだけは覚えている。

 

リンゴ

 

テントに関してはなくてもなんとかなるか、と思っていたので持っていかなかったが、なんとなく寝袋は必要な気がした。

しかしホームセンターで購入した寝袋はどう頑張っても全然小さくならず、無理してザックに入れたらものすごくかさ張ってしまったので、ホームセンターで適当な荷台とロープを購入して自転車に取り付け、そこに寝袋を縛りつけた。

 

以上が僕の初めての旅の装備だ。

 

あのときは荷物を背負って旅することになんの抵抗もなかった。

また、あのときはスケジュールの都合で5日程度しか旅できなかったので、荷物もあまり必要ない気がした。

いざとなれば現地で調達したらいい。

そう思っていたのだが、5日程度なら追加購入する必要はなかった。

あのときお金を使ったのは、途中で無性に食べたくなったすき家の牛丼とカロリーメイトと飲み物などの消耗品だけだった。

 

Q&A「自転車で旅するときの持ち物。必須アイテムを挙げるなら?」

僕は旅行先で手作りのご飯を喰いたかったので調理用具一式を持っていった。

例えば鍋や携帯ガスコンロ、ガス缶、スプーンとフォークを足したスポークという食器等……。

また、自炊をするので食べ物も持っていった。

食べ物は僕は米とパスタを良く食べていた。

お米は腹もちがよいので出来るだけ食べたかった。

 

ただしお米は炊くのに時間がかかり、鞄のスペースも割ととる、重い等の欠点もある。

それに対してパスタは簡単に茹でることができるし、かさばらないので便利だ。

 

パスタを茹でる

 

パスタの味付けは塩コショウと鷹の爪をぶっかけてペペロンチーノ風にしてもいいし、永谷園のお茶漬けのもとをぶっかけて和風パスタ風にしてもいい。

 

調味料も持って行ってた。

塩、みりん、マヨネーズ、醤油など……。

しかし調味料はほとんど使わなかった。

 

使った機会といったら、どこかのスーパーの鮮魚コーナーで買った刺身セットを炊いたご飯に乗っけて醤油を垂らした時と、道端に落ちていたじゃが芋を使って肉じゃがを作ったときくらいである。

前者の場合は刺身セットに醤油がついていたので、そもそも持参した醤油は必要なかった。

後者は砂糖や醤油、みりん、果ては料理酒を混ぜて真面目な肉じゃがを作ってみた。

味は最高に美味しかったのだが、その後の洗い物が大変だった。

食器洗剤も食器スポンジも持っていなくて全然汚れが落ちなかったのだ。

それから面倒くさくなって料理をすることはほとんどなくなった。

 

嗜好品も持っていった。

特に朝起床してテントの外で飲むココアは旨い。

夏の北海道といえど、道東や道北は朝晩かなり冷えるので暖かいものが美味しい。

 

外で飲むココア

 

僕はあまり食べなかったが、袋めんを常備しているチャリダーもよく見かけた。

簡単に素早く作ることができるので便利だと思う。

カップラーメンと違ってかさばらないのもいいが、洗い物が面倒くさそうだと感じた僕は袋めんはほとんど食べなかった。

 

以上は自炊派の人の主な持ち物だと思う。

料理をしない人は食器も食材も調味料もいらないので、その分自転車の負担が減る。

買い食い派はそれらの道具は必要ない替わりに必要なのは、口座がホクホクなキャッシュカードだ。

 

さて、夏の北海道で過ごすための持ち物、次は衣類について考える。

普通のチャリダーは自転車用の靴を履いて自転車用のヘルメットも被り、有名スポーツメーカーの服を着て旅している人をわりと見かけた。

だが僕の服装は、上はユニクロの半袖、下はどこかよく分からないメーカーのハーフパンツ。

靴は履かずに代わりに、どこかの激安スーパーで買ったクロックスっぽい形のサンダルを履いていた。

ヘルメットは被らなかった。

 

下着に関してはパンツは三枚持っていった。

ハーフパンツも3着、Tシャツも3着持っていった。

以上が僕の持っていった衣類の全てだ。

 

僕はあのころあまり風呂に入らなかった。

だいたい4日に一回くらいしか入ってなかったと思う。

パンツは風呂に入ったときしか履き替えなかったので、4日起きに履き替えていたことになる。

 

履き替えたあとのパンツはもちろん臭う。

僕はそれをその辺の公園の水道で水洗いして自転車のハンドルにかけて走っていた。

一日晴れた日に走っていたら乾いてくれるので、コインランドリーに頼ることがなくなるのだ。

ただし臭いは完全には落ちない。

 

半袖Tシャツも同様に水道洗いしていた。

半袖Tシャツの洗い時は晴れた午前中だ。

水道洗いしたら乾いてないそれをそのまま着るのだ。

 

初めはべとべとしていて違和感があったが、そのまま走ると意外な効果があった。

日中の暑さを和らげてくれるのだ。

夏の北海道とはいえ、日中は30度を超す日もある。

そういう時、濡れTシャツは便利なものだ。

 

ハーフパンツも濡らしてサイドバッグに括りつけて走ったりしたものだ。

綿製は意外と乾かないので、ポリエステル100%のハーフパンツを履いていた。

ポリエステル製は綿に比べると乾きが早い。

ただし防寒効果は綿のほうがある。

 

 

足元はクロックスもどきで旅をしていたので、靴下は一着も持っていかなかった。

ただ、クロックスもどきを毎日履いていると足も臭くなる。

そのときは公園あたりの水飲み場でばしゃばしゃ洗って濡れたまま走る。

しばらくすると臭いもとれて足元もすっきりするので一石二鳥だ。

 

クロックス風のサンダル

 

タオルは持っていかなかったが、タオルの代替としてMIZUNOのスイムタオルというものを持って行った。

これは元々水泳選手がプールに入ったあとに濡れた身体を拭くのに使うものだ。

これの凄いところは何度でも水分を吸収して、絞れば何度でも水気を吸い取る点だ。

コンパクトに丸めることができるので、荷物の邪魔にもならないしかさばらない。

もしかしたら旅行では最強のアイテムかもしれない。

 

その他の道具は、

 

  • 雨具
  • 自転車のパンク直す修理道具一式
  • 予備のチューブ

 

といったところから、

 

  • 寝袋
  • 寝袋の下に敷くマット
  • 電池
  • 携帯ラジオ
  • 地図
  • 爪切り
  • 髭剃り

 

辺りは必須アイテムかと思う。

Q&A「北海道まで自転車は輸送? それとも手持ち? 袋や梱包は?」

自転車を北海道に持っていく方法はいくつかある。

 

フェリーで運ぶ方法。

電車を使っての輪行。

飛行機に積み込む方法。

宅配便で送る方法。

自力で北海道まで漕ぐ方法……。

 

僕は北海道へはフェリーを使って向かったのだが、そのときに自転車を積んで運んだ。

 

フェリー輸送の最大のメリットは、自転車を解体しないで済む点だろう。

原型のままで、サイドバッグをつけっぱなしにしたまま運んでくれるのは乗り物はフェリーだけだ。

 

フェリーで運ぶ車

 

料金は自転車代も別途かかるが、それでもくつろぎながら北海道まで向かうことができるのはありがたい。

ただ、フェリー会社によっては出航したら目的地に着くまで自転車のある車両甲板へ戻ることができないところもあるので、荷物は乗船するまえにまとめておきたい。

 

次に各交通機関を使った輸送方法を見てみよう。

 

電車の場合は、指定された輪行袋に入れる必要がある。

この輪行袋は基本的に三辺の和が250mm以内の袋とされていて、自転車は少しもはみ出ることがないように袋の中に収納しなくてはならない。

 

ラッシュのホーム

 

また、混雑時はものすごく邪魔になる上、電車内やホームでの移動もままならないのでかなり辛い。

その上、サイドバッグなどの荷物があればそれだけで周りの迷惑を意識してしまう。

電車の輪行とは意外と疲れるものだ。

 

飛行機で運ぶ人もいる。

飛行機の場合は、解体した自転車を指定の輪行袋に入れて預ける。

あとは到着したときにターンテーブルか空港の従業員から直接手渡しされるそうだ。

 

飛行機

 

飛行機のメリットは数時間で目的地に辿り着ける点だ。

ただ、飛行機の場合は荷物を相当雑に扱われるらしく、到着したのはいいが自転車に傷が入っているなどの問題もあるそうだ。

そのためクッション性のある輪行袋を使用するか、緩衝剤を用意して自転車の衝撃を和らげる工夫をしておきたい。

 

自転車は引越し業者や宅配便などの運送会社を使って運ぶ方法もあるらしい。

先に自転車を運送屋さんに預けて、北海道のどこかのホテルか民宿かで受け取る方法があるそうだ。

 

宅配業者の女性

 

各運送会社ごとに自転車の宅配サービスというのがあるので、それを使って運ぶ方法もあれば、普通の荷物扱いで運ぶ方法もある。

自力で自転車を運ぶわけではないのですごい楽だが、料金は1万以上かかるそうだ。

 

また、自転車以外にサイドバッグも発送しないといけないのでコストがかかる。

お金に余裕がある人にお勧めできる方法である。

 

自力で北海道までペダルを漕ぐ人もいる。

日本一周を目標にしているチャリダーや、北海道にわりと近い東北、関東圏のチャリダー、多くの休みを取れた学生チャリダーは自走する人もいる。

 

自走する男性

 

自走の場合は青森県青森市から出ているフェリーか、青森県大間町から出ているフェリーを使う。

これらは両方とも函館市に繋がっている。

青森から大間の間の道は意外と勾配の激しい道が続くらしく、多くのチャリダーは青森市から出ているフェリーで函館に向かうそうだ。

自走は挑戦したことがないのでなんともいえないが、時間に余裕のある人が成せる方法である。

次に僕が自転車で旅行するときはどこを放浪するのだろうか?

自転車旅行をする目的は人によって様々だ。

 

僕の場合はチャリダーやライダーと触れ合うのが好きだったので、北海道を三年連続で走ってしまった。

それには理由があり、国内では夏の北海道以外の地域ではチャリダー、ライダーと出逢う確率がほとんどないのだ。

旅人の中には純粋に観光したり名物を食べたりして楽しむ人もいれば、地元の人たちとの関わりを楽しみに旅をしている人もいる。

そういった人は北海道以外の地域も楽しめると思う。

 

僕がもし自転車旅行するとしたら海外、それもアジア圏を旅したいと思う。

これにはいくつかの理由があるのだが、物価が日本と比べて安いことが挙げられる。

 

僕は国外を自転車旅行したことはないが、用事で4年くらい前にカンボジアのアンコールワットを観光していたら横浜から来たというチャリダーと出逢ったことがある。

その人は大学時代に自転車で日本一周された方で、就職してからは1週間くらいの休みが取れたら海外を少しずつ走り回っているらしい。

 

アンコールワット

 

その人はタイからカンボジア経由でベトナムのホーチミンを目指していた。

東南アジアの自転車旅行は初めてで英語も大して話せないと言ってたが、身振り手振りでなんとかなると言っていた。

確かに買い物程度なら身振り手振り、もしくは筆談でどうにでもなるのだ。

それと日本に比べると物価がもの凄く安いので、日本一周したときよりも贅沢ができるともおっしゃっていた。

 

あのころは第二次安倍内閣が発足する前の民主党政権時代で、1ドル80円前後のハイパー円高時代だったのだ。

いまこの文章を執筆している現在は1ドル115円~120円台を行き来している。

あのころは海外で何でもできた。

現在はあのときほどではないが、それでも日本の旅行よりも贅沢はできると思う。

東南アジア圏はインフラが整っていなくて首都圏以外は砂地を走ることになるだろうが、日本とは全く違った雰囲気を走りながら楽しめるのは面白そうだ。

 

アジアを旅行する自転車

 

国内であれば、四国はもう一度自転車旅行したいなとは思う。

もう一度、と言ったのは、昔四国一周したからである。

 

あの時は2月の寒い時期に旅をした。

四国と言ったらかつて空海が行った四国八十八箇所巡りが有名で、毎年たくさんのお遍路さんが四国を旅している。

四国を一周するとき、お遍路さんにはどんな感じの人がいるのか楽しみにしていたのだが、実際四国を走ってみて気付いたのはお遍路さんは非常に少なかった。

 

お遍路さん

 

お遍路をする人と言ったら定年退職された方や学生、何らかの理由で仕事を辞めた人が多い。

要するに時間が有り余ってる人が多いということだ。

そんな人たちがわざわざ2月の寒い時期にお遍路をする理由がないのだ。

もう少し暖かくなった春先にでもやればいい。

そういう理由を地元の人に聞いたときはショックだった。

 

結局この年は四国一周はしたものの、お遍路されている方と出逢うことはほぼなかった。

地元の人曰く、お遍路の時期は春か秋らしい。

この時期が一番暖かい、もしくは涼しい時期でお遍路しやすいそうだ。

いつかこの時期に時間を確保できたら、もう一度四国を一周したいと思う。