北竜町を去った僕は自転車で旭川まで向かってそこから富良野方面へ南下、国道38号線をひたすら西へ走った。
狩勝峠を超えたらそこは十勝だ。
広大な十勝平野はお菓子が有名である。
それはこの土地で生まれる小麦や大豆、牛乳の質が高いからだ。
北海道で有名なお菓子やさんの六花亭や柳月もこの十勝平野から生まれた。
帯広には他にも豚丼やカレーライスも美味しいお店がある。
ばんえい競馬などもあるので見るところもたくさんある。
このころ糖分をまともに摂取していなかったのでとにかく甘いものが食べたかった。
そう思いながら辿り着いた北海道十勝地方。
甘いものを喰おう。
そう思った。
まずは帯広にある六花亭の本店へ向かった。
六花亭は街の中にあるので信号が面倒だ。
北海道を走りまくってると信号がないのが普通に感じるので、たまに街に入ったとき、信号ひとつとっても面倒に思ってしまう。
ただし平野というだけあって坂道はほとんどないので、道のりで険しかったところはほとんどない。
帯広の六花亭本店では、ここでしか食べることのできないサクサクパイなるものが売っている。
これは賞味期限3時間しか持たないお菓子なので通販では購入することができず、現地まで足を運んだ人しか味わうことのできない幻のお菓子だ。
ツーリングマップ2011年北海道版にも、
サクサクパイは旨い!
と書かれていたので迷わずそれを購入した。
サクサクパイは名前の通りサクサクしていた。
クリームも旨い。
このころ糖分が著しく減少していたからか、もしくは甘いものをただ単に口にしていなかったか分からないが、とにかく旨かった。
ツーリングマップル2011年北海道版編集者が太鼓判を押すのも分かる。
ライダーやチャリダーの中にはこれを求めて遠方からやってくる猛者もいるから恐ろしい。
現に六花亭本店には店の外装に反してバイクが綺麗に並べてあったり、サイドバックで装備した明らかにチャリダーのチャリンコが店外の歩道の柵にもたれ掛かったりしていた。
六花亭本店にはイートインコーナーがあり、そこでは無料のコーヒーが飲める。
サクサクパイと旨そうに陳列されていたおはぎをいくつか購入してスペースでコーヒーを口にしたのだが、そのコーヒーがまたいい具合にほろ苦くて美味しい。
これが北海道が誇るスイーツの街か。
味覚と嗅覚で体感できて満足だ。
旅のよいところの一つに、好きなタイミングでそこの名物や名産、名所へ寄ることができるということがある。
自転車で自力で目的地へ辿り着いたときの達成感。
そしてそこで喰う食い物、飲み物、酒がまた旨い。
結局この日は帯広で食べ歩きをしていたのだが、昼過ぎから自転車を漕ぎたくなって更に道東、釧路方面を目指した。